2024テーマ 「価値」

私たちは日常の中で断片化した違和感を大なり小なり抱えて生きているはずです。
それは社会からの期待や一般的(と言われる)価値観と自分自身の感覚とのギャップ、あるいは矛盾から生まれるもの。例えば我々が扱う不動産においても、本来そのまま残しておきたくなるくらい魅力的な内装の部屋であったとしても原状回復が必要となってしまったり、礼金が高額だったり…。しかしそれが慣習化し、人々が当たり前に感じ始めると、そこに訪れるのは停滞です。アーティストは、社会に溢れるこれらの断片を可視化し、表現することができる。そしてそれが重なると、小さな渦ができるかもしれません。

「人の価値とは、その人が得たものではなく、その人が他にあたえたもので測られる」。アインシュタインはそう残しました。人の価値については、それ以上のない真実でしょう。しかし、「不動産価値が上がるとは何か?」「作品の価値とはなにか?」という問いは、不動産業である私たちが、そしてアーティストである応募者のみなさんが問い続けるものであるはずです。

「価値」は時代と共に変わる。だとすると、これまでの設定を問い直す動きは必要です。もちろん身の回り全てについての価値を疑うことは不可能です。子供の教育、お昼ご飯の添加物、政治、経済、環境問題などなど、すべてを網羅することは誰にもできません。しかし一人一人が向き合える範囲で、答えのない問いかもしれないけれど、思考と手足を止めずにいたい。いつかそれが小さな渦を起こし、新しい価値を生むことを願い、今年の公募展を開催いたします。

審査員プロフィール

  • 椿玲子   

    森美術館 キュレーター

    椿玲子   
    2002年より同館所属。森美術館では、「医学と芸術」(2010)、「宇宙と芸術」(2016)(2017シンガポール、アートサイエンス・ミュージアムに巡回)、「レアンドロ・エルリッヒ」 (2017)、「六本木クロッシング2019」(2019)、「STARS」(2020)、「私たちのエコロジー」(2023)などを企画。小企画では、ホー・ツーニェン、タラ・マダニ、カミーユ・アンロ、高田冬彦、シプリアン・ガイヤール、ツァオ・フェイ、山内祥太などを紹介、「MAMリサーチ006:クロニクル京都1990s」(2018)を企画。現在、9月開催の「ルイーズ・ブルジョワ」を準備中。美術館外でも「隠喩としての宇宙」(京都、2012)、「Duality of Existence: Post Fukushima」(NY、2014)、「Body、Love、Gender」(Seoul、2023)などを企画。成安造形大学客員教授(2013-2014)、青山学院大学非常勤講師(2019-2023)の他、執筆・講演・企画も行う。
  • 宮津大輔

    アート・コレクター / 横浜美術大学 教授 / 森美術館 理事

    宮津大輔
    1963年東京都出身。東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科アートプロデュース専攻 博士課程修了 博士(学術)。広告代理店、上場企業の広報・人事管理職を経て大学教授に転身。横浜美術大学第三代学長として改革を推進し、コロナ禍におけるV字回復を達成。また、既存の芸術祭とは異なる「紀南アートウィーク2021」や「“Fukuoka Art Next” Week 2022・2023」の芸術監督として、斯界に新風を吹き込む。他方、世界的な現代アートのコレクターとしても知られ、台北當代藝術館(台湾・台北)での大規模なコレクション展(2011 年)や、福岡アジア美術館とのコラボレーション展(2022年)などが大きな話題となった。近著に『新型コロナはアートをどう変えるか』『アート×テクノロジーの時代』(以上、光文社新書)『現代アート経済学Ⅱ-脱石油・AI・仮想通貨時代のアート』(ウェイツ)など。

    Photo:Tadayuki Minamoto
  • 渡辺希利子 

    富山県美術館 学芸員

    渡辺希利子 
    富山県生まれ。大学卒業とともに、富山県に学芸員として採用。新美術館建設準備室を経て、1999年4月の水墨美術館開館から同館学芸課に2年間勤務。2001年4月から富山県立近代美術館普及課に勤務。普及事業では、乳幼児や視覚障碍者など幅広い層の作品鑑賞に取り組む。同美術館の移転新築に伴い、2017年より富山県美術館学芸課に勤務。現在、国内外の近現代美術、コレクションを中心とした展覧会の企画・実施、作品貸出を担当。主な展覧会は、「金山康喜のパリ-1950年代の日本人画家たち」(2015年)、「高野山金剛峯寺襖絵完成記念 千住博展」(2018年)、「森村泰昌のあそぶ美術史」(2020年)、「富山県美術館開館5周年記念 蜷川実花展」(2021年)など。
  • 丹原健翔 

    作家 / キュレーター

    丹原健翔 
    1992年東京生まれ。ハーバード大学美術史学科卒業。現代におけるコミュニティの在り方をテーマに作家として活動する傍ら、美術展覧会の企画・キュレーションを行う。展覧会企画の他に、「ソノアイダ #新有楽町」プログラムディレクター、「Yurakucho Art Urbanism」実行委員などアートプロジェクトに従事。主な展覧会に「未来と芸術」展(2019年、森美術館、Another Farm名義)、「デバッグの情景」(2022年、ANB Tokyo、東京)、「無人のアーク」(Study: 大阪関西国際芸術祭 2023、大阪)、「Back to Thread / 糸への回帰」(FUJI TEXTILE WEEK 2023、山梨)など。

    Photo ©︎野本ビキトル(METACRAFT) 提供:e-vela.jp
  • 伊東順二

    美術評論家 / プロジェクトプランナー

    伊東順二
    アート、音楽、建築、都市計画など分野を超えたプロデュースを多数手がける。1995年「ベニス・ビエンナーレ」日本館コミッショナー。1997年パリ日本文化会館柿落とし企画「デザインの世紀」展コミッショナー。2000〜01年「文化庁メディア芸術祭」審議委員兼企画展プロデューサー 。2002年ニューヨーク「The New Way of Tea」展キュレーター。2014年ピッティ宮殿近代美術館「Tourbillon」展等キュレーター。2004年〜07年長崎県美術館館長。2005年~13年富山大学教授。2012年〜2023年3月東京藝術大学特任教授。富山市ガラス美術館名誉館長。

    Photo ©︎Lorenzo Barassi x 伊ぃTOMO

  • 2名

    コートヤードHIROO賞

    コートヤードHIROO賞
    賞金20万円
    2025年 コートヤードHIROOでのレジデンス&成果展 1ヶ月~1ヶ月半程度
    ※実施スケジュールは相談の上決定致します
    ※制作費、告知等の補助あり

    会場住所 東京都港区西麻布4丁目21−2
  • 2名

    LOCAL AWAKEN 賞

    LOCAL AWAKEN 賞
    賞金20万円
    2025年 地方都市でのレジデンス&成果展 1ヶ月~1ヶ月半程度
    ※実施都市および内容、スケジュールは相談の上決定致します
    ※制作費、告知等の補助あり
  • 全員

    受賞者全員

    グループ展におけるプロジェクション機材の協力
    プロジェクションメーカーによるものづくりツアー&研究開発ワークショップの開催

募集要項

募集内容 データ送付およびコートヤードHIROO内で実物の展示が可能なものであればジャンル問わず可( 平面・立体・映像・インスタレーションなど形式は不問 )
※一人もしくは1グループにつき1点まで
※未発表作品に限る ( 他所で授賞していない。商業出版されていない。新聞・雑誌に掲載されていない。)
コートヤードHIROOの詳細はこちら
スケジュール
7/19(金)~9/1(日)
公募期間/一次選考・書類選考
9/1(日)
23:59 応募締切
9/13(金)
一次選考結果発表 メールでのご案内を予定しております
9/24(火) PM
最終選考・プレゼンテーション 会場 コートヤードHIROO ※オンライン参加可
12/6(金)~22(日)
受賞者グループ展示 会場 コートヤードHIROO
授賞式 12/6(金) 各賞の発表および贈呈式を行います
公募条件 以下の条件をすべて満たす方
(1) 日本に居住あるいは国内に活動拠点のある方
(2) 現代美術の分野で活動するアーティスト(ジャンル不問)
(3) 学生であること(短大、専門大などは不問※国際学生証が発行できる教育機関に所属していること)
(4) 最終選考に進んだ場合2024年9月24日にコートヤードHIROO でプレゼンテーション、及び同年12/6(金)~22(日)に展示が可能な方( プレゼンテーションに限り来場が難しい場合はオンラインを検討 )
[個人情報・著作権の扱い]
応募作品の著作権は応募者に帰属。ただし、応募者は印刷物、ホームページ掲載、メディアへのリリース等、A-TOM ART AWARDの広報活動のため主催者に著作権を無償で許諾するものとする。
参加方法 特設サイトよりフォーム記入にて応募
※Googleフォームを使用するため、Googleアカウントを持っていない方はメールにて受付
下記事項記載必須のうえ、
a-tomartaward@cy-hiroo.jp 】まで
・氏名( カナ ) ・アーティスト名 
・所属学校( 専攻・学年 )
・メールアドレス ・電話番号 
・本アワードをどこで知りましたか
・応募作品の形式( 2D、3D、4D、インスタレーション、その他 )
・応募作品タイトル 
・添付物( 静止画の場合は jpgまたはpngでの形式、動画の場合はmp4形式 [ 可能であればコーデックをH.264に指定 ] でそれぞれご提出下さい。静止画・動画とも400MB以内でご提出ください。ファイル便による送付の場合はダウンロード期限を最長に設定してください。)