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NAMERIKAWA ARTIST IN RESIDENCE 2025 

第2回目の開催!国内外の作家3名が滑川市の歴史的建造物にて滞在制作および成果展を開催

株式会社アトムは、若手アーティストの育成を図るとともに、文化を通じた都市・地域活性を目指し、芸術を学ぶ全国の学生から作品を募集するA-TOM ART AWARDを開催しています。

本アワードの副賞として、2024年受賞者の2名の若手作家に加え、更に今年はベトナム・ハノイよりアーティストを招致し、富山県滑川市内の有形文化財や歴史的建造物にて、滞在制作および成果展を開催いたします。滞在制作を通して生まれた作品や制作中感じたことを、成果展として8月18日(月)~26日(火)に発表いたします。初日の夕方からはオープニングイベントとして“アートナイト”も開催いたします。皆様と会場でお会いできることを楽しみにしております。

本プロジェクトを通じて、国籍や言語を超えた文化交流を促進し、地域活性化や文化醸成、次世代の創造力育成に繋がる機会となることを目指していきます。

富山県滑川市 アーティスト・イン・レジデンスと成果展に寄せて

持ち家率や道路整備率など暮らしやすい環境によって、「全47都道府県幸福度ランキング」で常に上位に位置する富山県において、滑川市は県内の市の中では最小面積でありながら高い人口密度を有しています。それは、良好な人間関係の構築や地域コミュニティ間での交流深化が、より一層の幸福度向上や地域の活性化を促すことと換言できるのではないでしょうか。

滑川市は「とやま国際アートキャンプ2022」で青雲閣におけるアーティスト・イン・レジデンス(アーティストが一定期間、特定の場所-地域や施設に滞在し、リサーチや制作活動行う事業。以下、AIR)や「酒蔵アート in なめりかわ」を行うなど、文化面でも「幸せ人口1000万~ウェルビーイング先進地域、富山~」の重要な一翼を担っていました。更には、滑川高等学校と共にビビビとジュルリ(富山県美術館内の「アートとイート」に特化したレストラン)の新メニューを開発したり、eスポーツや地元の食をテーマにしたイベントを開催したりするなど、様々な取り組みを通じて多面的な文化振興施策を展開してきました。

少子高齢化や東京一極集中への対策、国際交流促進といった社会問題は、幸福度指数の高い富山県、滑川市にとっても喫緊の社会課題といえます。就業人口の維持・増加、世代間のコミュニケーション活性化、地場産業の振興、多文化共生の実践は、「言うは易し行うは難し」です。

しかし、ビジュアル・アート(視覚芸術/美術)は、時に論理的サイエンス思考では埒が明かなかった問題に対して、解決の糸口を見つけるトリガー(引きがね)の役割を果たすことがあります。また、昨今話題のアート思考(本来は、スペキュラティブ・デザイン思考といいます)は、眼前の課題解決に捉われることなく、問を重ね、本質的あるいは潜在的な問題に迫る考え方です。今年も滑川市では、日本から2名、ベトナムから1名のアーティストを迎えてAIRと、その成果展を登録有形文化財である田中小学校旧本館をはじめ、市内の歴史的建造物で開催します。彼らは、「ガラスの街・富山」でガラスを扱うアーティストとのコラボレーションや、滑川の人々が使用していた生活道具や古本を用いた展示計画、そして滑川の伝統的な祭事や行事、郷土芸能、そしてベトナム人コミュニティのリサーチなどを行う予定です。

滑川市とそこに住まう人々が本事業を心から楽しみつつ、未来志向によって様々な課題解決のヒントを、アートから得ることを希望してやみません。私自身も、「難しい」あるいは「取っつきにくい」と敬遠されがちな現代アートの楽しみ方を、皆さんと共に考え、身近に感じてもらうイベントの開催・登壇を計画しています。是非、夏の滑川で、お会いしましょう!

-プログラムアドバイザー 宮津大輔(アートコレクター / 横浜美術大学 教授)

アーティスト・イン・レジデンス概要

  • ■ 作家
    •  湯川 爽海(ゆかわ さなみ)2000年東京生まれ、武蔵野美術大学造形学部油絵学科油絵専攻在籍
    •  水野 渚(みずの なぎさ)愛知県生まれ、2025年東京藝術大学大学院 美術研究科 グローバルアートプラクティス専攻修了
    •  Ha Thuy Hang(ハ トゥイ ハン)1989年 ベトナムハノイ 生まれマルチメディア作曲家 / サウンドアーティスト / エレクトロアコースティック即興演奏家
  •  スケジュール
    •  ・滞在制作期間:7/16(水)~8/17(日) 9:00~20:00
      ※7/16~24の期間中、会場での見学はできません。
      ※看板が出ている時が制作中です。リサーチ等で不在の場合もございます。
    •  ・成果展:8/18(月)~8/26(火) 13:00~19:00
    • ・オープニングイベント・アートナイト:8/18(月) 17:00~19:30
      (第一部 17:00~17:45:作家による成果展ツアー | 第二部 17:45~18:30:プロジェクトアドバイザー宮津大輔氏(アートコレクター / 横浜美術大学 教授)、丹原健翔氏(キュレーター / 作家)による「アートの見方、感じ方、関わり方」座談会 | 第三部 18:30-19:30:交流会)
  • ■ 会場
    • 田中小学校旧本館 富山県滑川市加島町230番地1
    •  旧高嶋医院 富山県滑川市加島町866
    • アクセス:公共交通機関でお越しの方:富山地方鉄道・西滑川駅より徒歩10分、車でお越しの方:田中小学校プール南側駐車場をご利用ください
  • ■ 運営
    • 主催:株式会社アトム
    • プロジェクトアドバイザー:宮津大輔(アート・コレクター / 横浜美術大学 教授)、丹原健翔(キュレーター / 作家)
    • 共催:株式会社TOYAMATO
    •  後援:滑川市、滑川市教育委員会
    • 協力:KOHEI GLASS STUDIO、山下佳奈(ハテナガラス、)、株式会社FP不動産センター

作家プロフィール


湯川爽海 Sanami Yukawa
2000年 東京生まれ
武蔵野美術大学造形学部油絵学科油絵専攻在籍
身の回りの瑣末な出来事に価値を見出し作品化することで、普通の生活が新しくみえたり解像度が上がったりする──日常の再発見をテーマに制作しています。
Instagram


水野渚 Nagisa Mizuno
愛知県生まれ
アーティスト
2025年東京藝術大学大学院 美術研究科 グローバルアートプラクティス専攻修了
私は、主に「食べる / 触れる」という行為を通じて、人と人、人と土地との関係性やケアのあり方を探究している。遊び心に満ちた方法で世界との対話を試みたい。
https://mizunagi.com/


Ha Thuy Hang ハ トゥイ ハン
1989年 ベトナムハノイ 生まれ
マルチメディア作曲家 / サウンドアーティスト / エレクトロアコースティック即興演奏家
作品の特徴の一つとして、先住民文化と社会変化の関連性を探求することがあります。特に伝統的なベトナム音楽の現代的な側面に関心を持ち、音楽、演劇、パフォーマンス、オーディオ・ビデオ・インスタレーション、実験映画など、多岐にわたる芸術形態を通じて、伝統的な素材を基に創作を続けています。
https://hathuyhanghth.wixsite.com/home

視察・制作内容について

2025年6月に富山県での滞在制作に先立つ事前視察を行いました。初めての土地で、現地の方々との交流を通じて、どのような作品が生まれるのか、そしてその制作過程も皆さんと分かち合えることを楽しみにしています。

下記事前視察の様子と制作に向けての構想となります。
※滞在制作の中での出会いや気づきで変更になる可能性もございます。


― 湯川爽海
浜の漂着物をリサーチする様子。また、高齢化と人口減少により深刻化している空き家問題にも着目します。持ち主不明となったり、不要になった家具類を収集・再生する「レスキュー」活動にも参加する予定です。これらの活動を通じて収集した素材を元に、インスタレーション作品の制作を検討しています。

― 水野渚
富山県で活動されているガラス作家の岸本耕平氏(KOHEI GLASS STUDIO)と山下佳奈氏(ハテナガラス、)にご協力いただきます。富山県内で収集した素材を元に、新たなガラス作品の創造に取り組みます。特に注目しているのは、「稲」を素材として活用する可能性です。富山県が米騒動発祥の地であるという歴史的背景を踏まえ、地域の歴史調査や米農家へのフィールドワークも予定しています。

 

アーティスト・イン・レジデンスの詳細はInstagramにも随時投稿していきます。ぜひご覧ください。
https://www.instagram.com/atomartaward/