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REPORT | NAMERIKAWA ARTIST IN RESIDENCE 2025
株式会社アトムは、若手アーティストの育成を図るとともに、文化を通じた都市・地域活性を目指し、芸術を学ぶ全国の学生から作品を募集するA-TOM ART AWARDを開催しています。本アワードの副賞として、2024年受賞者の2名の若手作家に加え、更に今年はベトナム・ハノイよりアーティストを招致し、富山県滑川市内の有形文化財・田中小学校旧本館、歴史的建造物・旧高嶋医院にて、滞在制作および成果展を開催いたしました。連動企画として、アートナイトやギャラリーツアー、地元小学生に対しての講義やワークショップを開催し、アートに触れる機会を企画いたしました。
本プロジェクトを通じて、富山県内を中心に数多くの方が関わり、滑川に集い、記憶に残る経験をされたのではないかと感じでいます。本プロジェクトを継続していくことで、国籍や言語を超えた文化交流を促進し、地域活性化や文化醸成、次世代の創造力育成に繋がる一助となることを願っています。
■スケジュール
滞在制作:7/16(水)~8/17(日)
成果展:8/18(月)~8/26(火)
■主催 / 後援 / 協力者一覧
□ 主催:株式会社アトム
□ 共催:株式会社TOYAMATO
□ 後援:滑川市、滑川市教育委員会
□ 監修・アドバイザー:宮津大輔、丹原健翔
□ 会場・設備サポート:滑川市立田中小学校、高嶋家ご親族の皆さま、米山愛、株式会社FP 不動産センター、有限会社法澤建築デザイン事務所、なめりかわ建物フェス実行委員会
□ 水野渚 ガラス制作サポート:KOHEI GLASS STUDIO、山下佳奈(ハテナガラス、)、たこあつこ、土合正人、有機JAS 認定 前佛農場 前佛清人
□ Ha Thuy Hangベトナム語通訳・会場設営サポート:Nguyen Minh Thong (cameraman & editor)、Ngoc Anh (art assistance)、 Hoai Thu, Duc Anh(translator)、 Ngoc Phu、Huong Huong、 Phuong、Linh、 Son Hoa (setting support)、北陸シンコウ協同組合
□ ご協賛:株式会社金山産業、小杉・和み
□ 視察協力:滑川市立博物館、吉乃友酒造、株式会社丸八、株式会社美来
■会場

田中小学校旧本館

旧高嶋医院
■展示風景・作家プロフィール

湯川 爽海(ゆかわ さなみ)
2000年東京生まれ、武蔵野美術大学造形学部油絵学科油絵専攻在籍
身の回りの瑣末な出来事に価値を見出し作品化することで、普通の生活が新しくみえたり解像度が上がったりする──日常の再発見をテーマに制作しています。
「水平線のともだち、眉よりきびしい月」
2025 / ミクストメディア
滑川に着いて、まずは歩きまわってみることから始めました。細い路地のはじまりの山吹色に掠れた小さな足跡マーク、スーパーへの近道にある回転するカラフルなフラワーの飾り、トタンや融雪装置から道路に滲み出ている錆、見たことのない模様の板ガラスの数々、透明な波板で囲われた寺院、空き地に並べられた大きなタライが生み出すリズム。家々の隙間から海や山が顔を出すたびに、遠くにあるはずの景色がふいに近づいてくるような気がしてなぜか嬉しくなりました。詩人・高島高は本展の会場である旧高嶋医院で生まれ、医師の傍ら詩作もおこなっていました。2 階にある広間は「望碧楼」、茶室は「不問庵」と名付けられ、各地の詩人・文人らと交流したり近所の子供達を遊ばせたりといつもにぎやかだったそうです。空間に点在している造形物には、五箇山和紙や海岸で採集してきた海水・流木・石、北日本新聞など富山各地で集めた素材を用いています。造形物と旧高嶋医院、そこに遺されたもので再構成することで、彼の詩に描かれた景色と私がみてきた滑川の景色が重なった新しい景色が立ち上がってくるのではないかと思います。

水野 渚(みずの なぎさ)
愛知県生まれ、2025年東京藝術大学大学院 美術研究科 グローバルアートプラクティス専攻修了
私は、主に「食べる / 触れる」という行為を通じて、人と人、人と土地との関係性やケアのあり方を探究している。遊び心に満ちた方法で世界との対話を試みたい。

「Liquid Atlas in Toyama」
2025 / 稲からできたガラス、プロジェクター、紙
富山は、米の実りで満ちた土地。かつて、米騒動という波がここから立ち上がった。私は射水と滑川で採れた稲の籾殻を焼き、「最も硬い液体」と呼ばれるガラスに変えた。その色は、土や水、そして人の営みによって異なる。滑川を歩くと、どこからともなく水の音がする。姿を変え、止まらず、やがて海へ向かう。 暗渠の上で眠る車を見つけ、「川には住所がない」という事実に妙に納得した。ガラスも、水も、色も、動いている。形があるようで、掴めない。けれど確かにここにあり、この土地と結びついている。一粒のガラスは、地図のかけら。その中に閉じ込められた色は、過去を映し、未来を予感させる。ここで生まれたガラス越しに見る世界は、今日も色を変えている。

Ha Thuy Hang(ハ トゥイ ハン)
1989年 ベトナムハノイ 生まれマルチメディア作曲家 / サウンドアーティスト / エレクトロアコースティック即興演奏家
作品の特徴の一つとして、先住民文化と社会変化の関連性を探求することがあります。特に伝統的なベトナム音楽の現代的な側面に関心を持ち、音楽、演劇、パフォーマンス、オーディオ・ビデオ・インスタレーション、実験映画など、多岐にわたる芸術形態を通じて、伝統的な素材を基に創作を続けています。
「Không lời, những đám mây trôi / 言葉なく、雲が流れる」
オーディオ&ビデオ・インスタレーション
Orion mini- fernseher & Radio TVR、懐中電灯とオブジェ
古風なイメージが、儀式的な色彩の豪華な美しさに身を潜めている空間。そこは、時間の隔たりや断絶がもたらす奇妙さに包まれ、美しさと悲しみ、華やかさと孤独が共存しています。この作品は、観客を「中に入り」、「カセットテープをかけ」、「鏡をのぞき」、「トゥオン(ベトナムの伝統芸術)を観る」という旅へと誘います。
■制作風景 / イベント実施風景

旧高嶋医院でのリサーチ


富山県の「もみがら」を使用したガラス制作

滑川市に住むベトナムの方々の制作サポート

田中小学校の学生を対象にしたワークショップ

滑川市内のコワーキングスペース「Share ebisu」での展示